新聞掲載記事から転載しました。 朝日新聞 2002.03.10(日) 28面



「太刀魚の焼き南蛮」
酸味飛ばしまろやかに
小山 裕久(「青柳」主人)

 少しクセのある魚のおいしい食べ方に、南蛮漬けという方法があります。油で揚げたり、焼いたりしてから甘酢に漬け込む料理法です。
 太刀魚と長ねぎ、ししとう三つをフライパン一つで仕上げます。
 まず最初に長ねぎは、裏表に蛇腹に包丁を入れ、火が入りやすく、また噛(か)みやすくしてから、全体に油を塗り、フライパンに入れて焼いていきます。すると包丁を入れたところから中心に向かって熱が入っていき、外側がこんがり焦げる頃合(ころあ)いには、程良く中まで火が通ります。多少生っぽいかなというところで、いったん引き上げ、食べやすい長さに切ってください。ねぎは最初に切り分けてしまうと、焼くときの手間が、その分だけ多くなりますから。
 ししとうも、ねぎと一緒に焼きます。前もって包丁で1カ所切り込みを入れておいてください。油を塗り程良く焼けたら引き上げるのは、ねぎと同じです。
 太刀魚は皮目に細かく包丁を入れて、皮を破れにくくして、適当な大きさに切り分けます。フライパンに薄く油を敷いて、太刀魚の皮目を下にして入れ、落とし蓋(ぷた)でしばらく押さえて、反り返らないようにして水分を抜き、両面きつね色になるようにこんがり焼き上げます。そこに酢を入れてジュッと焼ききったら、ねぎとししとうを戻し入れ、出汁(だし)、しょうゆ、砂糖を加えて、しばらくグツグツと煮含めます。
 そのまま食べてもおいしいのですが、1、2時間おいて、冷めて味が染み込んだのもまた格別です。普通の南蛮漬けと違って、酢の酸味を飛ばしたうえに煮込んであるので、すべての味がまろやかになっていて、コクもしっかりと出ています。ねぎの香ばしさやししとうのからみで合いの手をとりながら、おいしい甘酢の染み込んだ太刀魚をほおばってください。


材料 4人前
太刀魚1本、長ねぎ1本、ししとう12本
1.5 番出汁500cc、酢90cc、濃い口しょうゆ90cc、砂糖大さじ3、油適量


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