新聞掲載記事から転載しました。 讀賣新聞 2002.09.06 25面
■塩振って水気取る ■網は熱しておく皮はパリッ中はジュワッと
料理研究家の河合 真理さん
秋の味覚、サンマが鮮魚店の店先をにぎわしている。脂ののったサンマは、まずは塩焼きで堪能したいもの。マンション住まいて炭火焼きは無理でも、工夫次第で皮はパリッと中はジューシーに仕上げることができる。今夜のごちそうに試してみてはいかが。
◇ ◇ ◇
サンマ漁が今月中旬に最盛期を迎える宮城・気仙沼漁協によると、今年は昨年並みの豊漁が見込まれるという。「型がよく、値段は昨年よりやや高め」。東京都内では、一匹百円から200円ほどで出回っている。
サンマと言えば、塩焼き。料理研究家の河合真理さんは「焼き魚の基本は強火の遠火」と、塩焼きには炭火焼きが一番だという。しかし、一般家庭では、炭火焼きができるわけではない。そこで、河合さんは、ガスコンロの両脇にレンガを置いて、その上に焼き網を乗せている。
ただ、外はパリッと中はジューシーに仕上げるコツは、焼く前の下準備にある。まず片面にひとつまみ(指3本分)ずつ塩を振って20分ぐらいおいておくこと。「青魚特有の生臭みを取って、うまみを引き出します。これを省くとどんなに鮮度のいい魚でも、おいしく仕上がりません」。そして、焼く直前に、出てきた水気をキッチンペーパーなどでふき取る。
次に、網を熱く熱しておくこと。そうしないと、皮や身が網にくっついてしまう。「焼き網でもグリルでもどんな道具を使う場合でも、この2つの下準備は同じです」
鮮度のいいサンマはほろ苦い内臓も楽しみなので、一匹丸ごと焼きたい。盛りつけた時にきれいに見えるように、表(頭を左にして腹が手前になる状態)を先に焼いて、次に裏を。何度も返すと身がボロボロになるので、返すのは一度だけ。「表に軽く焦げ目が付いたら返し、裏側からじっくり焼いて中まで火を通します」。こうして焼いたサンマを食べてみると、皮はパリパリとして、口に入れるとジュワッと肉汁が広がった。
一匹まるごと網やグリルに入らないときは、見た目は悪いが頭と尾を切り落とす。身を半分に切ると、内臓が流れてしまうからだ。ようじなどで頭としつぽを留めて丸くする方法もある。
焼き網やグリルがない場合に、オーブントースターやフライパンでサンマを焼く人もいるが、河合さんは「あまり塩焼きには適していないので、ちょっと違う焼き方がお勧め」という。
この場合も、2つの下準備は同じ。フライパンで焼く時は、サンマに小麦粉をまぶして、ムニエル風にすると、衣が脂を吸って表面がパリッと仕上がる。
オーブントースターやオーブンなら、サンマの内臓を取り出し、肝を袋から絞り出してしょうゆ、酒を合わせた肝じょうゆを作って、付け焼きに。サンマをぶつ切りにして肝じょうゆに10分ほど漬けてから焼き、途中で2、3回、塗りつける。ほんのりとワタの苦味がしみてぜいたくな味わいだ。
河合さんは「ほんのちょっとの手間でおいしく食べられる。秋を味わうイベントだと思って楽しんで作ってみて」と話している。
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