新聞掲載記事から転載しました。 朝日新聞 2002.01.13(日) 20面



「鮭の粕汁」
白味噌加えまろやかに
小山 裕久(「青柳」主人)

 日本酒の仕込みが終わって、そろそろ出回ってくる新の酒粕さけかすを使って、粕汁を作ってみましょう。
 とろっとした白味噌(しろみそ)仕立てのまろやかな粕汁のなかに、金時にんじんの紅(あか)い色が浮かび、そこに菜の花の緑や大根、柚子(ゆず)などが加わって、いかにも日本らしい取り合わせ。ここは、できれば金時にんじんの色にこだわりたいところ。西洋にんじんの澄色(だいだいいろ)とは違い鮮やかできれいですし、甘さとほのかなクセに独特のものがあって、冬の煮物には欠かせない脇役(わきやく)です。
 酒粕は、最近では少し搾りの浅い軟らかいものも手に入りやすくなりましたが、固い板粕の場合はサクサクと切り、呼び水仕わりに少しお酒をかけ一晩ほど置き、ミキサーにかけてください。ただ酒粕だけではお子さんやお酒が苦手な方にはきつすぎるので、半分くらい白味噌に手伝ってもらうと、ご飯に合うおいしい粕汁になると思います。
 大根やにんじんは適当な大きさに切り、水から煮てください。軟らかくなったら、味噌を溶き入れ、酒粕を加えます。
 ここに、酒粕には付き物の魚として鮭(さけ)を入れたいのですが、生鮭をいっしょに入れて炊くとずいぶんと脂が出たり、アクが出たりして、生臭くなります。粕汁はもともと少しクセのあるものですが、そのクセで鮭の生臭みを消すのはどうも難しいように思います。私どもでは、鮭を頃合(ころあい)の大きさに切り、少し振り塩をしでしばらく置き、粕汁の煮上がりに合わせ蒸し器で蒸し上げます。面倒な方はレンジで火を通していただいても結構です。
 こうすることで、あつあつの鮭と粕汁と野菜がほどよく調和します。何も全部一緒に炊いてしまうものだけが、おいしいものを作るとは限らない、よい例だと思います。仕上がりにゆでた菜の花と刻んだ柚子(ゆず)をのせて、彩りと香りを添えてお召し上がりください。


材料 4人前
酒粕200ゥ、白味噌200ゥ、生鮭200ゥ
金時にんじん、大根各適量、出汁1ャ、菜の花、黄柚子各適量


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