新聞掲載記事から転載しました。 讀賣新聞 2002.05.10 (金) 29面



カツオのたたき
あぶる前に皮つつく     (料理研究家 中村 成子先生)

和食にこだわろうと思ったら、魚は切り身を買うのではなく、自分で包丁を握って下ろしたい。そこで、料理研究家の中村成子(しげこ)先生に、今回は「魚をさばく」をテーマに教えてもらった。挑戦するのは、旬のカツオのたたき。(西内高志)

 魚は鮮度が何より大事。中村先生が「えらが鮮やかな赤で、目が透き通っていること」とアドバイスしてくれた。

◇    ◇

 本題のさばく作業。たたきなので、三枚に下ろす。まず、えらの内側に出刃包丁を斜めに入れ、頭とえらを切り落とす。今回は魚が大きく、かなり手ごわい。腹を切って内臓を取り出し、腹の中を洗う。うろこはないが、「背中から側面の硬い原皮を包丁で削り落としてください」。  背中から尾に向かって骨に沿って包丁を入れ、尾に達したら、逆に腹側を頭に向かって切っていく。最後に、中骨に沿って包丁を入れ、身を切り離す。かまを切り落とせば、二枚おろし。反対側も同様に切ると、三枚おろしの出来上がり。腹の身の骨の付いた部分を切り除く。半身を縦半分に切り、骨と血合いを切り取って、さくどりをする。大きな魚をさばくのは、そう快だ。
◇    ◇

 表面をあぶるが、その前に皮を竹ぐしでまんべんなくつつく。「あぶると、皮の下の空気が膨れ、むけてしまうことがあります」。皮と身の間に金ぐし3〜5本を扇状に刺し、ガスコンロの強火のじか火で、まず皮側から。パチパチと音がして来た。「全体に焼き目が付いたら返し、身の側は白くなる程度に」。皮を上にして氷水に付け、すぐに上げて水気をふき取る。
◇    ◇

 くしを抜いたカツオを並べ、小口切りのネギと細切りのショウガ、シソなどの薬味をたたきつけるようにまぶす。「こうすると、臭みが取れます」。確かに、いい香りが食欲をそそる。ラップをかけて冷蔵庫で三十分ほど冷やす。この間に、つまの準備。ウドは五センチ長さに切って皮を厚めにむき、飾り切りにして薄切りに。ミョウガタケは細切り。ともに水に放す。キュウリは薄い小口に切って塩をふり、軽くもむ。ワカメは水で戻して二センチ角に。
 カツオは薬味を取り除き、大きいものは一切れを薄く、小さければ厚く、刺し身包丁を一息で引いて切る。つまを添える。おろしショウガと半月の薄切りにしたレモンも。
◇    ◇

 中骨を入れたみそ汁と、かまや腹の身の塩焼き、青豆ご飯と一緒に頂く。たたきは、レモンの搾り汁と合わせたしょうゆで。「口当たりよく、さっぱり食べられますよ」と中村先生。身が引き締まっていて、舌触りがよかった。

【材料】(4人分)
カツオ(6キロ・グラム)  半身
キュウリ          1本
ミョウガタケ        2、3本
ウド            10センチ
ワカメ           適量
レモン           1個
ネギ            10本
ショウガ          大1個
シソ            5枚


和食のツボ

中骨に沿って出刃包丁を入れる。「切れる包丁を使えば、力を入れないで済みます」と中村先生

包丁
さばく魚の幅よりも刃渡りの大きめな出刃包丁を使うと、切りやすい。
砥石に直接当てるというよりも、研ぎ水で滑らせる感覚で。

洗う
イワシやアジなどの小さめの魚は、背骨に沿った血管を切って、血を流水で洗うと、臭みがなくなる。

押さえない
さばく時には身崩れしないよう、身を押さえずに、頭やしっぽの部分を押さえる。
強く押さえないためにも、よく切れる包丁を使う。

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