新聞掲載記事から転載しました。 讀賣新聞 2002年11月22日(金)      23面



カキ

  調理いろいろ

滋養たっぷりの冬の味覚、カキのおいしい季節になってきた。生で食ぺてもおいしいが、フライや鍋料理、グラタンなど、調理の幅も広い。たんぱく質やカルシウム、鉄分など栄養価の高い旬のカキをいろいろに味わいたい。

 東京・築地市場の卸売会社「築地魚市場」の丸山雄一さんによると、今年の国産のカキは値段はやや高めだが、その分、品質がいいという。「身がしっかりしていて、風味もいいですよ」 ならば、おいしく調理したいもの。そこで、銀座のカキ料理専門店「かなわ」の料理長、滝都(たきつ)秀之さんを訪ねて、コツを教わった。
 かなわは、広島県内でカキの養殖も行っており、滝都さんも広島出身。「向こうでは、家庭でもキロ単位でカキを買ってきて、さまざまな食べ方をします。和洋中、何にでも合います。中でもフライと鍋料理が"定番"です」
 まずは、カキフライから。おいしく仕上げるポイントは、「身が硬くならないように、短時間で揚げること。ですから、生食用のカキを使うことを薦めます」と滝都さん。
 下処理に、海水と同じ濃度(3%)の塩水を用意、カキを五分ほどつけて洗う。この時、貝柱に殻のかけらが残っていたら取り除く。水気を切ってコショウをふり、小麦粉、卵、パン粉の順に衣をつけ、180度の揚げ油で二〜三分ほど揚げる。「カキの水分が出てきてプチプチと油がはねる音が変わった時が、取り出すタイミングです」
 揚げ立てのカキフライを、トマトケチャップにウスターソースを合わせ、ペパーソース少々を加えたたれで食べる。サクッとした衣から、じゅわっとカキのエキスが広がるのが何とも言えない。
 次に鍋料理。滝都さんのお薦めはちり鍋だ。土鍋に昆布と水を入れ、塩と薄口しょうゆ少々を加える。最初に白菜やネギ、春菊、キノコ、豆腐などを煮て、水洗いしたカキをさっと煮てから紅葉おろしと刻んだ青ネギ、ポン酢で食べる。ぷりっとした食感と潮の香りが食欲をそそる。最後は雑炊。「味付けはしません。器に取ってからポン酢をかけて食べます」
 ほかにも、いをいろな食べ方が楽しめる。
 グラタンは、オリーブオイルでカキとシメジをいため、コショウをふり、白ワイン少々を加えてふたをして蒸し煮に。材料を取り出し、煮汁を少し煮詰め、ホワイトソースを入れて混ぜる。器にカキとシメジを盛り、ホワイトソース、チーズをのせてオーブンで焼き目をつける。
 生のカキにベーコンを巻いてようじで留め、オリーブオイルでいためれぱ、[カキのベーコン巻き」。最後に白ワインをふって香りを出す。
 「マーボー豆腐を作る手順で、豆腐を加える前にカキを加える『マーボーカキ』もおいしいですよ」と、滝都さんは話している。


メモ
カキには、「生食用」と「加熱用」とがある。生食用は食品衛生法で定められた規格を満たしたもので、加熱用には特に規格はない。 また、全国一のカキの産地、広島県では、養殖漁場の海域によって、生食用と加熱用とに分離している。 購入した後は、どちらも家庭できちんと冷蔵し、消費期限以内に食べること。 加熱用は75度で5分以上加熱することを目安として、調理の際には十分火を通したい。


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  *新聞記事の漢数字を断りなく算用数字(アラビア数字)に変換しています。



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