新聞掲載記事から転載しました。 讀賣新聞 2002.06.14 (金)



「小アジの南蛮付け」  揚げ物味わう
中村 成子先生(料理研究家)

 揚げ物は手間がかかるので、敬遠していたが、揚げたてを味わうには、やはり自分で作るのが一番。料理研究家の中村成子しげこ先生に相談したところ、「小アジの南蛮漬け」で作り方を学ぶことになった。食欲が衰えがちなこれからの季節によさそうだ。(西内 高志)

弱めの中火で煮るように
 小アジを買ってきたら、すぐに氷水に漬ける。「身を締めると扱いやすくなります」と中村先生。
      ◇          ◇
 まず、えらを取り除き、側面のゼイゴは包丁で尾の方からそぎ取る。腹を3センチほど切って内臓を取り出し、腹の中の血を洗い流す。作業の合間も、冷たさで指先がツーンとなるのをこらえ、処理が済んだ小アジを再び氷水に。「身の締まったアジは、からりとおいしく揚がります」。水を切り、ペーパータオルで腹の中などの水気をふき取る。すぐに揚げないなら、冷蔵庫に入れておく。
      ◇          ◇
 本題の揚げる作業。からりと揚げるには、ベニバナ油がベストだという。鍋は厚手のものを。「薄いと油の温度が上がりすぎ、表面だけ焦げて、中心まで火が通りません」
 油は中火にかけて170度に。「油の表面から5センチほどの高さに手をかざして熱を感じるくらい」と教わるが、なかなか難しい。乾いた菜ばしを入れて、気泡が付くのが目安。
 薄力粉を小アジの両面に付け、余分なものははたき落とす。「粉が油に混ざると、おいしく揚がりません」
 十匹人れたら、骨までからりと揚げるため、弱めの中火で約20分、煮るようにして、揚げる。「ふたをしておくと、中心までよく火が通ります」。次第に気泡が減り、小アジが浮いてくる。はしでたたいてカツンと音がすれば、十分揚がった証拠。
 バットに上げると、香ぱしさが食欲をそそる。残りの十匹も同じようにして揚げる。
    (小アジを油に入れた後は、ゆっくりかき回す程度に」と中村先生)
 酢としょうゆ、砂糖、だし汁、輪切りにした赤トウガラシを混ぜて作った南蛮酢に、油をよく切って小アジをくぐらせる。ジューッという音が何とも言えない。皿に盛り付け、スライスした新タマネギを添える。好みで南蛮酢をかけて。
      ◇          ◇
 揚げてショウガじょうゆをかけた加茂ナスとシシトウ、それにワカメご飯と一緒に頂いた。小アジは頭から食べると、骨の抵抗感もなく、サクッとした食感がいい。香ぱしさと南蛮酢の甘酸っぱさが絶妙のバランス。「余れば、南蛮酢に漬けて保存して下さい。味がしみたのもおいしいですよ」


      ◇          ◇
見ただけで、サクッとした食感が伝わってきそう
■材料(4人分) ■
 小アジ(体長10〜12センチ)20匹、薄力粉大さじ3〜4杯、ベニバナ油適量、
 酢1/2カップ、しょうゆ1/4カップ、砂糖大さじ3杯、だし汁(昆布)1/2カップ、
 赤トウガラシ適量、新タマネギ1個

      ◇          ◇
温度
  魚介類などで火が通りにくい素材は、170度を保って時間をかけて揚げる。
  高温にすると、表面だけが焦げて、中に火が通らない。
  野菜などで火が通りやすい素材は、180度でさっと揚げる。
入れ方
  火が通りにくい素材は、油の表面積の8割程度まで。油は多めに。
  温度が一気に下がらないように、1個ずつ。
  火が通りやすい素材は、表面積の半分程度まで。
ころもや粉
  てんぷらのころもや粉は付けすぎない。
  鍋底に落ちてこげ、油が劣化する原因になるため。




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