朝日新聞・掲載の記事から転載しました。     2002年9月20日(木) 34面


小中学校完全禁煙・来春から聖域なく 宇都宮市教委

職員室はおろか、校門から一歩足を踏み入れたらたぱこは御法度!宇都宮市教委は来春から、すべての市立小中学校の教職員に「完全禁煙」を課す取り組みを始める。教師なら、まず自ら範を垂れよ、というわけだ。どうしてもやめられないという人には、専門の医師を紹介して通院を勧めるという徹底ぶり。全市を挙げての学校禁煙化は、全国的にも先進的だという。禁煙教育は今後、スモーカーの先生たちにとって痛みを伴うものになりそうだ。

教師なら範を垂れよ
   やめられぬ人 医師紹介


 「健康の尊さを教え諭さなければならない立場の教師が、子どもたちの前でプカプカたぱこをふかすわけにはいかない」。宇都宮市教委の取り組みは、こんな考え方からスタートしたという。

「徹底すべき」
 宇都宮の市立小中学校は全部で80校あるが、現在でもその9割で、喫煙場所を定める「分煙」が実施されている。
 しかし、禁煙に対する社会的な意識の高まりを受け、「もっと徹底すべきではないか」という声が強まり、来春をめどに「完全禁煙」を実施する方向になったという。同市教委学校教育課は「教師がたばこを吸う姿を子どもたちが目にして、いい影響は何一つないはずだ」という。敷地の片隅や屋上でひそやかに……というスタイルも認めず、授業参観や面談に訪れた保護者も含めて、大人たちに「完全禁煙」を求める。
 具体的な導入の手順などを考えるため、市教委は7月下旬に父母の代表や校長、保健所長ら17人で構成する検討会を設けて話し合いを進めている。

喫煙率は15%
 市教委の今年5月時点の調査では、市立小中学校の教師の喫煙率は15%。国の調査による全国平均が25%程度であるのに比へれば、低い数字ではあるが、男性を中心に愛煙家の教師が少なくないのも事実。現場には「『ちょっと一服』すらできなくなると、ストレスで授業に集中できないかもしれない」という声もある。
 なかなか自力でたぱこと縁が切れない教師について、市教委は、禁煙の「傾向と対策」をまとめたプログラムを示したり、専門の医師への通院を勧めたりといった「教育的指導」に乗り出す考えだという。  学校の禁煙化は、最近各地で広がりをみせている。個々の学校が個別の判断で実施している例が多いが、和歌山県教委は今春から、542校ある県内すべての公立の小中高校を全面禁煙にした。全県レベルでの取り組みは全国で初めてのことで、各教委に与えた影響は大きい。和歌山県教委は「喫煙は今や小学生にまで広がっている。禁煙は教育の中でも最重点の事項だ」「たばこは『嗜好(しこう)品』というより薬物で、健康被害は生涯に及ぶ」という。
 禁煙化を強力に進めるため、たばこが与える害悪や相談可能な医療機関などをまとめた冊子を各校に配布し、校長を対象にした説明会も開いた。

県段階はまだ
 栃木県教委は、学校の禁煙化について「県レベルではまだ内部の検討段階で、特別な取り組みには至っていない」(保健体育課)、という。ただし、「まずは取り組みやすい『分煙』の徹底など、今後検討を進めなくてはいけない問題だ」という認識は示している。


親子で学ぼう 学校での禁煙 

栃木県の 禁煙市町村絵図


*新聞記事の漢数字を断りなく算用数字(アラビア数字)に変換しています。

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