寅のとしに生るゝ人は一代の守本尊は虚空蔵ぼさつなり。
此人前世にては青帝の御子なり。
北斗のろくそん星より米二石金子六〆目を受得て此世へ生るゝなり。前生にて殺生をこのみ多く烏獣をころしたるゆえ今生にて災難多し。又病身なるべし。然れども三十すぎて仕合よくなり知行財宝にえん有べし。夫婦の縁度々かはる事あり。夫婦同年ならぱ長くたもつべし。子の縁は前生の殺生のむくひにて育がたし。仏に祈り求むべし。又養子してよし。
三十五六にて大きに災難あり。五十八九にて命危し。命は六十六か又は七十七にて終るべし。昆沙門は寿命を守り賜ふ。大日如来は福徳をあたへ賜ふ。不動尊は智恵をさづけ賜ふ。よくよく信心すべし。

○一説に曰く、寅のとしの生れは学問を好み総明にして貴し。又手に芸ありて人に重んぜられ衣食たるべし。